異文化適応力CQ(Cultural Intelligence)-01

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皆さんこんにちは!

今日は、グローバル、多様性の時代に必要な「異文化理解力CQ(cultural Intelligence)」について、連載記事として掲載していく。

多様性の時代

グローバル化ということが最近頻繁に至るところで聞くようになった。

日本の対外・対日直接投資は、ロシアのウクライナ侵攻などの世界情勢の不安定さはあるものの今後ますます増加していくと考えられる。

対外・対日直接投資データは、ジェトロの下記サイトで確認できる。

ジェトロ世界貿易投資報告
https://www.jetro.go.jp/world/gtir/

ジェトロ対日投資報告
https://www.jetro.go.jp/invest/investment_environment/ijre/

日本企業の海外進出、企業買収が増えているが、進出後、買収後の経営がうまくいっているケース、反対に、うまくいっていない、失敗するケースもある。成功不成功には、様々な要因が関連している。

また、海外企業の日本への進出、例えば海外半導体企業の日本での工場設立、様々な分野での日本市場への進出や産学連携などが活発化している。

インバウンドツーリストも復活してきている。

日本企業の海外直接進出や企業買収、海外企業の日本進出などビジネスの現場で考慮しておくべきことや、インバウンドツーリストなどとのコミュニケーション、交流において、心構えておくべきことなどをこの稿では展開して行く。

文化とは

ここで述べる文化は、社会制度、感情の表し方、暮らし方、コミュニケーションの取り方など、ある集団固有の暗黙、長い歴の中で培われたルールを言う。

私たち人間は、生まれてから言語や慣行、価値観を身につけていきます。その中で、文化の中枢にある価値観・気質は、大体12歳くらいまでに形成される。つまり、日本人の両親を持ち、日本でこの期間を過ごした大多数の日本人、また、日本人の両親を持ちながら、アメリカで生まれ12歳までアメリカで育ち日本に戻ってきた場合では、その価値観に違いが出てくる。

そして、後者の場合には、Third Culture Kids(TCKs)という。成人してからは、Adult Third Culture Kids(Adult TCKs)と呼ばれている。つまり、両親の日本人としての価値観とアメリカでの価値観の狭間にあり自分の中で第3の価値文化というものを形成して行く。

これについての詳しいことは、別の機会に譲りたいと思う。

多様性の時代に必要なスキル

国民文化を意識しながらも、多文化間でハイパフォーマンスを達成していく力がCQ(Cultural Intelligence)、直訳すると文化の知能指数である。

IQ(Intelligence Quotient、知能指数)は、長い歴史を持ちその後1989年に米国イェール大学のピーター・サロベイ博士とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー博士によって、初めて論文で発表された理論がEQ(Emotional Intelligence Quotient、心の知能指数)である。

グローバル化が急速に進む中で出てきたのがCQ(Cultural Intelligence、文化の知能指数)である。

自国社会でのIQやEQが高くても、グローバルビジネス市場でハイパフォーマンスを出せない、若しくは、失敗してしまうビジネスパーソンが増加している状況の中で、ロンドンビジネススクールの教授を務めていたクリス・アーレイ氏が提唱し、その後ミシガン大学教授 ヴァン・ダイソン氏」、シンガポールの南洋(ナンヤン)理工大学教授 ソン・アン氏が体系化した概念がCQである。

CQの定義は、「多様な文化的背景に対応し成果を出せる能力」であり、4つの要素で構成されている。

  • 異なる文化で成果を出したいという「動機」
  • 異なる文化に対する「知識」
  • 異なる文化の中で成果を出すために知識を活かして準備し、何が成果を生み、何が成果を出すことができなかったのかをリフレクション(内省)する「戦略」
  • 異なる文化でのバーバル、ノンバーバルコミュニケーションを指す「行動(スキル、アクション)

どの要素も相互に関連しており、異文化に対する違いに気づき(図の赤い部分)、異なる文化に対する知識の習得をし(図の黄色い部分)、準備をして実践する(図の緑色部分)、そして内省する(図の青色部分)、このサイクルを繰り返すことによって誰でもCQを高めて行ける。

語学力や経験だけで異文化理解力はあるのか

グローバル化の波、特にビジネスの世界においては、そのビッグウェーブは避けて通れない。

そのような状況の中で、世界共通語としての英語教育の活発化が起こっており、幼児から大人まで英語学習熱はとどまるところを知らない状況である。

また、両親の仕事の関係で、日本で生まれ育ったがある一時期海外で育ち帰国した帰国子女、あるいは先に述べたTCKsの人達、その人達は、日本で生まれ日本で育ち成人になった人達より、異文化に接する機会は多かったであろう。

しかし、「英語が話せる」、「他の外国語が話せる」、「海外経験がある」、「帰国子女である」、「TCKs」である人が、必ずしもCQが高いわけではないということが専門家の実証研究で明らかである。

詳細については、別の機会に譲る。

相手の立場に立って考え・行動してみよう

異文化の人とうまくやっていく、異文化の中でビジネスパーソンとして、企業としてハイパフォーマンスを出して行くにはどうしたらいいのか。

まずは、相手がどの様な文化や社会システムで育ち生きているのか、どの様な価値観を大切にし、コミュニケーションはどの様にしているのかなどに、関心を持つことが大切である。

そして、自分が背負っている文化や考え方から離れて、相手の立場に立って考え・行動してみる。先に挙げた、4つのステップに従ってサイクルを回していく。そのことをすることにより、より深く相手の文化を知る欲求が出てくる。

次回からCQを上げていく具体的なやり方やツールについて述べて行く。

次回連載に続く。

ご感想、お問い合せ、ご要望等ありましたら下記フォームでお願いいたします。

投稿者プロフィール

市村 修一
市村 修一
【略 歴】
茨城県生まれ。
明治大学政治経済学部卒業。日米欧の企業、主に外資系企業でCFO、代表取締役社長を経験し、経営全般、経営戦略策定、人事、組織開発に深く関わる。その経験を活かし、激動の時代に卓越した人財の育成、組織開発の必要性が急務と痛感し独立。「挑戦・創造・変革」をキーワードに、日本企業、外資系企業と、幅広く人財・組織開発コンサルタントとして、特に、上級管理職育成、経営戦略策定、組織開発などの分野で研修、コンサルティング、講演活動等で活躍を経て、世界の人々のこころの支援を多言語多文化で行うグローバルスタートアップとして事業展開を目指す決意をする。

【背景】
2005年11月、 約10年連れ添った最愛の妻をがんで5年間の闘病の後亡くす。
翌年、伴侶との死別自助グループ「Good Grief Network」を共同設立。個別・グループ・グリーフカウンセリングを行う。映像を使用した自助カウンセリングを取り入れる。大きな成果を残し、それぞれの死別体験者は、新たな人生を歩み出す。
長年実践研究を妻とともにしてきた「いきるとは?」「人間学」「メンタルレジリエンス」「メンタルヘルス」「グリーフケア」をさらに学際的に実践研究を推し進め、多数の素晴らしい成果が生まれてきた。私自身がグローバルビジネスの世界で様々な体験をする中で思いを強くした社会課題解決の人生を賭ける決意をする。

株式会社レジクスレイ(Resixley Incorporated)を設立、創業者兼CEO
事業成長アクセラレーター
広島県公立大学法人叡啓大学キャリアメンター

【専門領域】
・レジリエンス(精神的回復力) ・グリーフケア ・異文化理解 ・グローバル人財育成 
・東洋哲学・思想(人間学、経営哲学、経営戦略) ・組織文化・風土改革  ・人材・組織開発、キャリア開発
・イノベーション・グローバル・エコシステム形成支援

【主な論文/プレス発表】
「仕事と脳力開発-挫折また挫折そして希望へ-」(城野経済研究所)
「英語教育と脳力開発-受験直前一ヶ月前の戦略・戦術」(城野経済研究所)
「国際派就職ガイド」(三修社)
「セミナーニュース(私立幼稚園を支援する)」(日本経営教育研究所)

【主な研修実績】
・グローバルビジネスコミュニケーションスキルアップ ・リーダーシップ ・コーチング
・ファシリテーション ・ディベート ・プレゼンテーション ・問題解決
・グローバルキャリアモデル構築と実践 ・キャリア・デザインセミナー
・創造性開発 ・情報収集分析 ・プロジェクトマネジメント研修他
※上記、いずれもファシリテーション型ワークショップを基本に実施

【主なコンサルティング実績】
年次経営計画の作成。コスト削減計画作成・実施。適正在庫水準のコントロール・指導を遂行。人事総務部門では、インセンティブプログラムの開発・実施、人事評価システムの考案。リストラクチャリングの実施。サプライチェーン部門では、そのプロセス及びコスト構造の改善。ERPの導入に際しては、プロジェクトリーダーを務め、導入期限内にその導入。組織全般の企業風土・文化の改革を行う。

【主な講演実績】
産業構造変革時代に求められる人材
外資系企業で働くということ
外資系企業へのアプローチ
異文化理解力
経営の志
商いは感動だ!
品質は、タダで手に入る
利益は、タダで手に入る
共生の時代を創る-点から面へ、そして主流へ
幸せのコミュニケーション
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古典に学ぶ経営
論語と経営
論語と人生
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素読のすすめ
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何のためにいきるのか~一人の女性の死を見つめて~
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など
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