異文化適応力CQ(Cultural Intelligence)-02

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皆さんこんにちは!

今日は、グローバル、多様性の時代に必要な「異文化適応力CQ(cultural Intelligence)-2」である。

異文化適応力指標~3専門家別

異文化適応力に関しては、多くの専門家がそれぞれの観点から異文化適応の指標を設定し、実証研究をして成果を上げている。ここでは、3人の専門家に登場願う。それぞれの専門家の下記著書にその指標について説明されている。

それぞれの専門家の異文化適応力指標について述べ、異文化適応力の「道しるべ」として行きたい。

  • Erin Meyer(エリン・メイヤー)、著書: The Culture Map、邦訳 異文化理解力
  • Geert Hofstede, Gert Jan Hofstede, Michael Minkov(ホフステード、G.J.ホフステード、M.ミンコフ)、著書:Cultures and Organizations -SOFTWARE OF THE MIND- Revised and expanded third edition、邦訳 多文化世界 違いを学び未来への道を探る-原書第3版-
  • David Livermore, “LEADING WITH CULTURAL INTELLIGENCE -The Real Secret to Success- Second Edition、邦訳無し

Erin Meyer(エリン・メイヤー)のカルチャー・マップの8指標

エリン・メイヤーは、文化の違いを認識するのに必要な指標として下記の8つを取り上げている。

  • コミュニケーション
  • 評価
  • 説得
  • リード
  • 決断
  • 信頼
  • 見解の相違
  • スケジューリング

この8つの指標に日本、アメリカ、ドイツの指標を記入したのが下記の図である。

1番目のコミュニケーションでは、ローコンテクストとハイコンテクストを特徴として採用している。「ローコンテクスト」における良いコミュニケーションは、厳密でシンプルで明確なものであり、メッセージは額面通りに伝え、額面通りに受け取る。コミュニケーションを明確にするためならば繰り返しも歓迎される。それに対して「ハイコンテクスト」における良いコミュニケーションは、繊細で含みがあり、多層的なものである。メッセージは、行間で伝え、行間で受け取る。ほのめかして伝えられることが多く、はっきりと口にすることは少ない。

エリン・メイヤーのこの著書では、コミュニケーションの指標では、アメリカ、オーストラリア、カナダ、オランダ、ドイツなどに始まり、中国、インドネシア、韓国、日本で終わる26ヶ国がローコンテクストからハイコンテクストの順番にプロットされている。この26ヶ国がどの様なコミュニケーション文化を持っているかが一目で分かるようになっている。その他の指標についても、詳しく述べられている。

この指標は、重量や、距離のように重量計や距離計で測定し、誰が測定しても同じ数値なる測量技術の測定値ではない。あくまで対比国間での相対値であることを認識する必要がある。

コミュニケーション指標の例で見たように、ドイツはアメリカから見ればハイコンテクスト国であるが、日本から見ればローコンテクスト国と映る。

つまりここで重要なことは、ドイツから見ればアメリカはローコンテクスト国としてどう付き合うか、日本と付き合うときには、ハイコンテクスト国としてどう付き合ったらいいかという方策を立てる必要がある。従って、多国籍企業の場合などでは、誰に送るメッセージなのかをよく考え、方策を立てる必要がある。

8つの指標の「リード」と「決断」は、一般的には、リードで平等主義であれば、決断は合意志向になる。逆にリードが階層主義であれば決断は、トップダウンになる。しかし、前出の図から分かるように、アメリカは、リードではドイツより平等主義であるが、決断は、ドイツよりトップダウンである。

ドイツは、リードではアメリカより階層主義であるが、決断では合意主義になっている。

日本は、リードにおいては、アメリカやドイツよりもはるかに階層主義なのに、決断は大きく合意主義となっている。これは、指示された目標は、上層部から中間管理者、そして一般社員へと細分化されながら下部組織へ流れていく。下部組織で行われる様々な対策は、下部から徐々に上層部へ向かって合意形成が行われてゆく。結果、全員の合意が行われ、目標へ向かって行くことになる。

これが戦後、日本が欧米に追いつき追い越せの高度成長を助けた意志決定の仕組みである。しかし、変化の激しいグローバル社会にあって、これまでのこの意志決定の仕組みを変えていかなければ日本・企業は、取り残されていく姿も垣間見られる。

次回連載に続く。

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投稿者プロフィール

市村 修一
市村 修一
【略 歴】
茨城県生まれ。
明治大学政治経済学部卒業。日米欧の企業、主に外資系企業でCFO、代表取締役社長を経験し、経営全般、経営戦略策定、人事、組織開発に深く関わる。その経験を活かし、激動の時代に卓越した人財の育成、組織開発の必要性が急務と痛感し独立。「挑戦・創造・変革」をキーワードに、日本企業、外資系企業と、幅広く人財・組織開発コンサルタントとして、特に、上級管理職育成、経営戦略策定、組織開発などの分野で研修、コンサルティング、講演活動等で活躍を経て、世界の人々のこころの支援を多言語多文化で行うグローバルスタートアップとして事業展開を目指す決意をする。

【背景】
2005年11月、 約10年連れ添った最愛の妻をがんで5年間の闘病の後亡くす。
翌年、伴侶との死別自助グループ「Good Grief Network」を共同設立。個別・グループ・グリーフカウンセリングを行う。映像を使用した自助カウンセリングを取り入れる。大きな成果を残し、それぞれの死別体験者は、新たな人生を歩み出す。
長年実践研究を妻とともにしてきた「いきるとは?」「人間学」「メンタルレジリエンス」「メンタルヘルス」「グリーフケア」をさらに学際的に実践研究を推し進め、多数の素晴らしい成果が生まれてきた。私自身がグローバルビジネスの世界で様々な体験をする中で思いを強くした社会課題解決の人生を賭ける決意をする。

株式会社レジクスレイ(Resixley Incorporated)を設立、創業者兼CEO
事業成長アクセラレーター
広島県公立大学法人叡啓大学キャリアメンター

【専門領域】
・レジリエンス(精神的回復力) ・グリーフケア ・異文化理解 ・グローバル人財育成 
・東洋哲学・思想(人間学、経営哲学、経営戦略) ・組織文化・風土改革  ・人材・組織開発、キャリア開発
・イノベーション・グローバル・エコシステム形成支援

【主な論文/プレス発表】
「仕事と脳力開発-挫折また挫折そして希望へ-」(城野経済研究所)
「英語教育と脳力開発-受験直前一ヶ月前の戦略・戦術」(城野経済研究所)
「国際派就職ガイド」(三修社)
「セミナーニュース(私立幼稚園を支援する)」(日本経営教育研究所)

【主な研修実績】
・グローバルビジネスコミュニケーションスキルアップ ・リーダーシップ ・コーチング
・ファシリテーション ・ディベート ・プレゼンテーション ・問題解決
・グローバルキャリアモデル構築と実践 ・キャリア・デザインセミナー
・創造性開発 ・情報収集分析 ・プロジェクトマネジメント研修他
※上記、いずれもファシリテーション型ワークショップを基本に実施

【主なコンサルティング実績】
年次経営計画の作成。コスト削減計画作成・実施。適正在庫水準のコントロール・指導を遂行。人事総務部門では、インセンティブプログラムの開発・実施、人事評価システムの考案。リストラクチャリングの実施。サプライチェーン部門では、そのプロセス及びコスト構造の改善。ERPの導入に際しては、プロジェクトリーダーを務め、導入期限内にその導入。組織全般の企業風土・文化の改革を行う。

【主な講演実績】
産業構造変革時代に求められる人材
外資系企業で働くということ
外資系企業へのアプローチ
異文化理解力
経営の志
商いは感動だ!
品質は、タダで手に入る
利益は、タダで手に入る
共生の時代を創る-点から面へ、そして主流へ
幸せのコミュニケーション
古典に学ぶ人生
古典に学ぶ経営
論語と経営
論語と人生
安岡正篤先生から学んだこと
素読のすすめ
経営の突破口は儒学にあり
実践行動学として儒学に学ぶ!~今ここに美しく生きるために~
何のためにいきるのか~一人の女性の死を見つめて~
縁により縁に生きる
縁に生かされて~人は生きているのではなく生かされているのだ!~
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など
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