アポロ13号に学ぶリーダーシップと決断力

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皆さんこんにちは!

Whenever you see a successful business, someone once made a courageous decision.
成功した企業は、きまって誰かがかつて勇気ある決断をした。
ピーター・ドラッカー(Peter Drucker、経営学者)

今日は、「アポロ13号に学ぶリーダーシップと決断力」を投稿する。

1970年4月にアメリカ合衆国のアポロ計画の3度目の有人月飛行がアポロ13号である。月に到着する前に事故に見舞われミッションの中止を余儀なくされ、さらにその後に見舞われた数多くの深刻な危機状況を脱して乗組員全員が無事地球へ生還した。

このアポロ13号を題材にしたのが映画「アポロ13」である。感動のトゥルー・ストーリーである。

概要

1970年4月11日、アメリカ中部時間13字13分、ジェームズ・A・ラヴェル船長、ジョン・L・スワイガート司令船操縦士、フレッド・W・ヘイズ月着陸船操縦士を乗せたサターンV型ロケットは3度目の有人月面飛行を目指して、ケネディ宇宙センター第39発射施設から発射された。

発射されてから2日後、地球から33万キロ離れた宇宙空間で突如深刻なトラブルに見舞われた。

電線が短絡し火花が散ったことにより機械船の酸素タンクが爆発し、乗員である飛行士達は深刻な電力不足と水不足に見舞われることになった。

司令船には、独自のバッテリーと酸素が搭載されていたが、それらは帰還に伴う大気圏突入の際に必要なものであり、使用することはできない。

そのため、彼らは着陸船を救命ボートに見立てて乗り移り、電力消費を限界まで抑えて生成量が激減した飲料水の消費量を控える負荷に耐え、無事地球に生還した。

宇宙船が地球に戻るまでの6日間の飛行中には、生死を分ける分岐点が何度となく訪れる。一つでも決断を誤れば、二度と地球の地を踏むことはできない状況であった。彼らは、地球の管制センターと密接に連携をとりながら課題を一つ一つクリアして奇跡とも言うべき星間を果たした。

リーダーシップと決断力

リーダーの資質の一つに決断力が挙げられる。事前にある程度予測可能な事態に対しては誰にでもできる。本当に難しいのは、予想を上回る不測の事態が起き、その事態の中で決断をすることである。そして情報が不十分な中で決断を的確にしていかなければならないと言うことである。

厳しい状況の中で、いかに現状を分析把握し、的確な判断をすばやく下していくかが真の決断であり決断力である。そこでリーダーとしての真価が問われることになる。

アポロのスタッフ達は、打ち上げ前からどのような事態が発生してもそれを解決できるように、想定できうる限りの事故のシミュレーション訓練を行ってきた。しかし、アポロ13号の爆発事故は、想定をはるかに超えた事態だったのである。

アポロ13号の事故の状況は、一点にとどまっていたわけではなく、状況は刻々と変化し続け、一瞬の決断の遅れや間違いは、死を意味する。

混乱する大組織を「生還」の目標に向けて動かす36歳

事故直後の管制センターでは、アポロ13号の酸素と電力が激減していく様子がコンピュータで捉えられていて、大混乱を起こしていた。

そのときの管制センターの総責任者は、36歳のジーン・クランツであった。混乱した部下達に「静かに、冷静になるんだ!」といいながら指示を出した。ジーン・クランツの一声でスタッフは、冷静さを取り戻していく。

彼は、部下からの情報を今一度整理し、事態を正確に把握していく。そして彼が決断したことは、「月着陸」という当初の目標を「生還」という重大目標に変更するのである。宇宙飛行士にとっても「月着陸」をやめ「生還」へ目標変更を受け入れることはこれまでの厳しい訓練を経てきたことを考えるとその決断を受け入れることは大きな苦渋の決断であった。

ジーン・クランツは、卓越したリーダーシップと決断力で、管制センターという巨大組織をまとめ上げ「生還」という一つの目標に向けて組織をまとめ上げていく。

司令船では

司令船では、酸素も電力もその消耗は止めどもなく進んでおりもはや危機的状態になっていた。司令船とドッキングした月着陸船を救命ボートとして活用するしかないとの結論に達した。そしてそこには地球に突入するためにしなければならない様々なタスクがあった。残された時間は15分しかない。その間に処理その全てのタスクを正確に迅速に処理しなければ二度と地球には戻れなくなる。

ジェームズ・A・ラヴェル船長は、管制センターの指示を待たずにとっさの判断で移動の準備をする。この判断は、一刻を争う中での判断であり、もし、管制センターの指示を待っていたのならば「生還」は、できなかったのではないかと思う。

困難を突破するに必要なもの

管制センター総責任者 ジーン・クランツにしてもアポロ13号船長 ジェームズ・A・ラヴェルにしてもその並外れたそれぞれの場でのリーダーシップや決断力、そして最後まで可能性を信じて、積極的に任務に取り組んだからこそ「生還」が実現できたのである。

どのような仕事やプロジェクトであっても、その任務を遂行する際に第一義的に必要なものは、任務に対する燃えるような情熱である。この姿勢がなければ、物事を推進できない。

厳しい人生の選択を迫られたとき、困難な問題が横たわってきたとき、その状況を冷静に判断し、的確な決断を下していくには、様々な能力、視野を養っておく必要がある。

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投稿者プロフィール

市村 修一
市村 修一
【略 歴】
茨城県生まれ。
明治大学政治経済学部卒業。日米欧の企業、主に外資系企業でCFO、代表取締役社長を経験し、経営全般、経営戦略策定、人事、組織開発に深く関わる。その経験を活かし、激動の時代に卓越した人財の育成、組織開発の必要性が急務と痛感し独立。「挑戦・創造・変革」をキーワードに、日本企業、外資系企業と、幅広く人財・組織開発コンサルタントとして、特に、上級管理職育成、経営戦略策定、組織開発などの分野で研修、コンサルティング、講演活動等で活躍を経て、世界の人々のこころの支援を多言語多文化で行うグローバルスタートアップとして事業展開を目指す決意をする。

【背景】
2005年11月、 約10年連れ添った最愛の妻をがんで5年間の闘病の後亡くす。
翌年、伴侶との死別自助グループ「Good Grief Network」を共同設立。個別・グループ・グリーフカウンセリングを行う。映像を使用した自助カウンセリングを取り入れる。大きな成果を残し、それぞれの死別体験者は、新たな人生を歩み出す。
長年実践研究を妻とともにしてきた「いきるとは?」「人間学」「メンタルレジリエンス」「メンタルヘルス」「グリーフケア」をさらに学際的に実践研究を推し進め、多数の素晴らしい成果が生まれてきた。私自身がグローバルビジネスの世界で様々な体験をする中で思いを強くした社会課題解決の人生を賭ける決意をする。

株式会社レジクスレイ(Resixley Incorporated)を設立、創業者兼CEO
事業成長アクセラレーター
広島県公立大学法人叡啓大学キャリアメンター

【専門領域】
・レジリエンス(精神的回復力) ・グリーフケア ・異文化理解 ・グローバル人財育成 
・東洋哲学・思想(人間学、経営哲学、経営戦略) ・組織文化・風土改革  ・人材・組織開発、キャリア開発
・イノベーション・グローバル・エコシステム形成支援

【主な論文/プレス発表】
「仕事と脳力開発-挫折また挫折そして希望へ-」(城野経済研究所)
「英語教育と脳力開発-受験直前一ヶ月前の戦略・戦術」(城野経済研究所)
「国際派就職ガイド」(三修社)
「セミナーニュース(私立幼稚園を支援する)」(日本経営教育研究所)

【主な研修実績】
・グローバルビジネスコミュニケーションスキルアップ ・リーダーシップ ・コーチング
・ファシリテーション ・ディベート ・プレゼンテーション ・問題解決
・グローバルキャリアモデル構築と実践 ・キャリア・デザインセミナー
・創造性開発 ・情報収集分析 ・プロジェクトマネジメント研修他
※上記、いずれもファシリテーション型ワークショップを基本に実施

【主なコンサルティング実績】
年次経営計画の作成。コスト削減計画作成・実施。適正在庫水準のコントロール・指導を遂行。人事総務部門では、インセンティブプログラムの開発・実施、人事評価システムの考案。リストラクチャリングの実施。サプライチェーン部門では、そのプロセス及びコスト構造の改善。ERPの導入に際しては、プロジェクトリーダーを務め、導入期限内にその導入。組織全般の企業風土・文化の改革を行う。

【主な講演実績】
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