グローバル社会を生きる~古教心を照らす、心古教を照らす~論語007

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皆さんこんにちは!

当シリーズは、グローバル社会にどう生きるかを、歴史の重みに耐えて今なおその普遍性を有する古典を紐解くことにより得ていく。

古典は、洋の東西あるが、まずは「論語」をシリーズとして取り上げ、今日は、その第7回。

論語為政第二の三に、次の章句がある。

この箇所の素読音声は、下記再生してお聴き下さい。

意味は、先生(孔子)は、いわれた、「(法令などの小手先の)政治で民を導き、刑罰によって民を統制しようとするならば、人民は、法網をすり抜けて恥ずかしいとも思わないが、道徳で導き、礼で統制していくならば、人民は道徳的な羞恥心を持ち正しいみちを踏み行うようになる。」

子:孔子 ※先生

道:「導」に同じ

之:ここでは「人民」

政:法律、規制

齋:まとめ治める。統一する。統制する。

刑:刑罰

徳:道徳

礼:法律に対して、それほど厳しくはない慣習法的な社会規範、礼儀

格:善道に進む。正しい道に進む

トヨタ自動車グループ企業のダイハツ工業は、2023年4月28日、海外向けの車両の側面衝突する試験の認証手続きで不正があったことを発表した。ダイハツ工業の奥平総一郎社長は、記者会見で不正の原因は、「側面衝突の認証試験を一度で通したいというプレッシャーがあったのではないか」と話をしていた。

仕事をしていく上では、「プレッシャー」といものは避けて通れないものである。そのプレッシャーに耐え、多くの企業、組織などでそこに働く人々や経営者、組織の長は正しく結果を出しまた導いている。

不祥事を起こす企業や組織には、その風土に問題があるのではないだろうか。

昨今、「コンプライアンス」という言葉を見聞きすることが多くなった。少し、「コンプライアンス」について触れておこう。

コンプライアンスとは、法律や規制、倫理的な基準、業界のベストプラクティスなどに対して適合することを指す。具体的には、企業や組織が法的な義務や要件に従い、倫理的な原則を守り、規制当局や関係者との関係を適切に管理することを意味する。

コンプライアンスは、企業の活動が法的に妥当性を持ち、倫理的な基準に沿って行われることを確保するためのプログラムやプロセスを指すこともある。これには、内部規定の策定、従業員の教育やトレーニング、監査およびモニタリングの実施、違反行為の報告手順の確立などが含まれる場合もある。

コンプライアンスの目的は、法的なリスクを最小化し、企業の評判や信頼性を高めることである。さらに、コンプライアンスは、社会的責任や持続可能な経営にも関連しており、企業が社会的な期待に応え、法的・倫理的なスタンダードを遵守することが求められる。

コンプライアンスは、企業や組織の活動範囲や業界によって異なる要件が存在するため、具体的な規制や基準に対する遵守が必要である。多くの場合、コンプライアンスチームや担当者が設置され、適切なガイドラインやポリシーを策定し、その実施と監視を担当することが一般的である。

ここでコンプライアンスと論語の関連性について言及する。

  1. 倫理的な基準: 論語は、倫理的な原則や行動規範を示している。コンプライアンスは、法律や規制を遵守するだけでなく、倫理的な基準にも従うことを求められる。論語の中で示されている倫理的な教えや価値観は、コンプライアンスの指針となる場合がある。
  1. 道徳的な指針: 論語には、行動のあり方や人間関係についての教えが含まれている。コンプライアンスは、組織や個人が法律や規制に守り準拠するだけでなく、道徳・倫理的な価値観に基づいた適切な行動を求められる。論語の教えは、道徳・倫理的な指針としてコンプライアンスの実践に役立つ。
  1. リーダーシップの視点: 孔子は、論語を通じてリーダーシップや統治の道徳的な側面について述べている。コンプライアンスは組織内のリーダーシップと密接に関連しており、リーダーは、道徳・倫理的な行動を示すことで、他のメンバーや従業員にコンプライアンスの重要性を示すことが求められる。

コンプライアンスと論語は、法律や規制を遵守するだけでなく、道徳・倫理的な基準や行動規範にも従うことを重視している。論語の教えや思想は、コンプライアンスの実践において指針や参考になる。

ここで重要なことは、政治家や行政、様々な分野で指導的立場の人は、自ら範を示していくことは勿論のこと、どのような立場の人も自己を律することが必要である。

そのような勇気と行動力を養うためにも、歴史の重みに絶えた教えを説いた書物や歴史に学ぶことが重要である。

歴史の重みに耐えた古典には、現代に活きる教えがある。

連載続く

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投稿者プロフィール

市村 修一
市村 修一
【略 歴】
茨城県生まれ。
明治大学政治経済学部卒業。日米欧の企業、主に外資系企業でCFO、代表取締役社長を経験し、経営全般、経営戦略策定、人事、組織開発に深く関わる。その経験を活かし、激動の時代に卓越した人財の育成、組織開発の必要性が急務と痛感し独立。「挑戦・創造・変革」をキーワードに、日本企業、外資系企業と、幅広く人財・組織開発コンサルタントとして、特に、上級管理職育成、経営戦略策定、組織開発などの分野で研修、コンサルティング、講演活動等で活躍を経て、世界の人々のこころの支援を多言語多文化で行うグローバルスタートアップとして事業展開を目指す決意をする。

【背景】
2005年11月、 約10年連れ添った最愛の妻をがんで5年間の闘病の後亡くす。
翌年、伴侶との死別自助グループ「Good Grief Network」を共同設立。個別・グループ・グリーフカウンセリングを行う。映像を使用した自助カウンセリングを取り入れる。大きな成果を残し、それぞれの死別体験者は、新たな人生を歩み出す。
長年実践研究を妻とともにしてきた「いきるとは?」「人間学」「メンタルレジリエンス」「メンタルヘルス」「グリーフケア」をさらに学際的に実践研究を推し進め、多数の素晴らしい成果が生まれてきた。私自身がグローバルビジネスの世界で様々な体験をする中で思いを強くした社会課題解決の人生を賭ける決意をする。

株式会社レジクスレイ(Resixley Incorporated)を設立、創業者兼CEO
事業成長アクセラレーター
広島県公立大学法人叡啓大学キャリアメンター

【専門領域】
・レジリエンス(精神的回復力) ・グリーフケア ・異文化理解 ・グローバル人財育成 
・東洋哲学・思想(人間学、経営哲学、経営戦略) ・組織文化・風土改革  ・人材・組織開発、キャリア開発
・イノベーション・グローバル・エコシステム形成支援

【主な論文/プレス発表】
「仕事と脳力開発-挫折また挫折そして希望へ-」(城野経済研究所)
「英語教育と脳力開発-受験直前一ヶ月前の戦略・戦術」(城野経済研究所)
「国際派就職ガイド」(三修社)
「セミナーニュース(私立幼稚園を支援する)」(日本経営教育研究所)

【主な研修実績】
・グローバルビジネスコミュニケーションスキルアップ ・リーダーシップ ・コーチング
・ファシリテーション ・ディベート ・プレゼンテーション ・問題解決
・グローバルキャリアモデル構築と実践 ・キャリア・デザインセミナー
・創造性開発 ・情報収集分析 ・プロジェクトマネジメント研修他
※上記、いずれもファシリテーション型ワークショップを基本に実施

【主なコンサルティング実績】
年次経営計画の作成。コスト削減計画作成・実施。適正在庫水準のコントロール・指導を遂行。人事総務部門では、インセンティブプログラムの開発・実施、人事評価システムの考案。リストラクチャリングの実施。サプライチェーン部門では、そのプロセス及びコスト構造の改善。ERPの導入に際しては、プロジェクトリーダーを務め、導入期限内にその導入。組織全般の企業風土・文化の改革を行う。

【主な講演実績】
産業構造変革時代に求められる人材
外資系企業で働くということ
外資系企業へのアプローチ
異文化理解力
経営の志
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など
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