皆さんこんにちは!
If general perception changes from seeing the glass as “half full” to seeing it as “half empty”, there are major innovative opportunities.
世の中の認識が、「コップに水が半分入っている」から「半分空である」に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる。
ピーター・ドラッカー(Peter Drucker、経営学者)
今日は、今日は、「予期せぬ偶発性をキャリア構築に活かす」について述べる。
変化の激しい時代
変化の激しいグローバル社会においてのキャリア構築は、従来のキャリア構築やキャリアデザインではなく、企業や組織が持っているビジネスモデルの考え方をキャリア構築に取り入れていく必要がある。
今日は、その上でどのように行動していったらいいのかを見ていく。
変化が激しい時代においては、その環境変化や技術革新を予測していくことは難しく、キャリア形成においても体系的で継続的なキャリア開発をあらかじめ計画し事前準備しておくことは、極めて困難なことである。計画し事前準備しておいたことも大きく見直すことが頻繁に必要となる。
では、どのように対応していったらいいのかということであるが、どんな環境変化や困難な状況でも自分のキャリアを構築し続ける力こそが重要であるという考え方と積極的姿勢行動が重要である。これに、実証的理論を提唱したのが米国スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授である。
計画された偶発性理論
米国スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が20世紀末に提唱したキャリア理論が「計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)である。
「個人のキャリアの8割は予期しない偶発的なことによって決定される」とし、その予期せぬ偶然の出来事にベストを尽くして対応し、その経験を積み重ねることによってよりよいキャリアが形成されるという考え方である。
「計画された偶発性理論」の背景と基本的考え方
20世紀末の米国は、シリコンバレーを中心に環境変化・技術変化が激しい状況であった。このような状況で従来型のキャリア論「自分のキャリアは、自分の興味、適性、能力などを合理的に分析し、設定したキャリアゴールを目指してキャリアを積んでいく」キャリアアンカー理論には、限界があった。
変化の激しい時代には、あらかじめキャリアを計画し、そのキャリアゴールに向かって行くことに固執することは非現実的であり、すべきではない、とクランボルツ教授は指摘している。
自分が、したいことにこだわり、仕事や職業を選んでいくことは、それ以外の可能性を排除することに繋がり個人の可能性を摘んでしまうことになるからである。
「計画された偶発性理論」の実践の5つの行動指針
計画された偶発性理論では、キャリアを形成していく過程では何が起きるか分からないということを前提に、「予期せぬ偶然性の出来事」によってキャリアが決定されると考え、その予期せぬ出来事を積極的に自分に引き寄せステップアップの機会を創出していこうとしる。そのために大切なこととして下記の5つの行動指針をクランボルツ教授は、挙げている。
・好奇心:絶え間なく新しい学習の機会を模索すること
Curiosity: exploring new learning opportunities
・持続性:失敗をものともせず、努力し続けること
Persistence: exerting effort despite setbacks
・楽観性:新しい機会は必ず実現する。可能になると、ポジティブに考えること
Optimism: viewing new opportunities as possible and attainable
・柔軟性:こだわりを捨て、柔軟に態度、考え方、行動を変えること
Flexibility: changing attitudes and circumstances
・冒険心:不確実な結果であっても、リスクを取って行動を起こすこと
Risk-Taking: taking action in the face of uncertain outcomes
「キャリア構築は、自分のビジネスモデル化」と共に「計画された偶発性理論の実践の5つの行動指針」を組み合わせて、着実に実践していくことはキャリア形成を確実なものにしていく。
事 例
私ごとで恐縮であるが、私は、2007年の晩秋時、米国IT企業の日本法人でCFO(最高財務責任者)をしていた。米国本社のグローバルな意思決定で、日本法人のリストラをすることになり、マネージャー職以上の管理職(マーケティングマネージャー除く)は、リストラによって退職することになっていた。社長もリストラ対象であり、私のポジションも台湾の現地法人に統合されることになり退職することになっていた。
残されるのは、マーケティングマネージャー、非管理職のマーケティング職、営業職、技術職のみで、大混乱であった。後から聞いた話では、残される社員たちは、米国本社にメールで混乱の状況や今後の不安を伝えていたようである。
米国本社は、日本法人の混乱の状況を非常事態と認識し、急遽CEO(Chief Executive Officer, 最高経営責任者)とCSO(Chief Strategic Officer, 最高戦略責任者)が来日した。私は、両名から呼び出され、日本法人のこの混乱と今後の日本市場での業績回復をしてもらえないかと代表取締役社長への就任要請があった。
このような状況で、社長を引き受けていいものだろうか?できるのだろうか?
数日考えさせてもらえないかと伝えた。数日間、悩み苦しみましたが、従業員のこと、代理店のこと、そしてエンドカスタマー(お客様)のことを考え、予期せぬ偶然の出来事である代表取締役社長への就任を引き受けることにした。
しかしながら分かってはいたが、社内外には問題が山積みであった。まさしく前が見えなく不安だらけで、引き受けたものはいいが自分にできるだろうかと、思案した。
そんなときに出会ったのが、佐藤一斎 言志四録の言志晩録にある「一燈を提(さ)げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿(なか)れ、只(た)だ一燈を頼め。」であった。
意味は、「暗い夜道を歩くとき、一張の提灯を提げて行くならば、如何に暗くとも心配しなくてよい(自分のおかれている厳しい状況)。ただその一つの提灯(わずかな可能性)を頼りにして進だけでよい。」である。
この言葉は、私に勇気と、心に一つの灯火を掲げてくれた。この言葉のおかげで、多くの課題が横たわっていたが、一つ一つ解決しながら前に進むことができた。
私の偶発性による新たなキャリアの始まりであった。
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